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テクノロジー

日本鉄鋼業の現状

日本鉄鋼業は、たゆまぬ省エネ努力により生産工程で世界最高水準のエネルギー効率を達成しているほか、軽くて高強度の高機能鋼材の供給や国内で開発した省エネ技術の海外への普及などを通じて、地球温暖化対策としてのCO2削減に貢献してきました。ここでは生産工程でのCO2削減に関するこれまでの取り組みと現状の課題について紹介します。

鉄鋼業のCO2排出量

  • 2019年度の日本のエネルギー起源CO2排出(10億2878万トン)のうち、鉄鋼は15%(1億5千万トン)を占めます。
  • 温暖化対策の観点から、各社とも省エネ設備の導入、環境対策技術開発を積極的に行ってきました。

電気事業者の発電に伴う排出量を電力消費量に応じて最終需要部門に配分した後の値。
機械は金属品製造業を含む。化学工業は石油石炭製品を含みます。
環境省:日本の温室効果ガス排出量データ(1990~2020年度)(確報値)より作成
https://www.nies.go.jp/gio/archive/ghgdata/index.html

社会的なCO2削減ニーズ

  • SDGsや地球温暖化にかかわる消費者意識が向上。
  • 各ユーザー様から具体的なサプライチェーンとしてのCO2削減目標が提示され始めています。
  • 鉄鋼メーカーとしても、 “鉄鋼業におけるCO2削減に向けたチャレンジ” を共有し、要望にお応えするべく検討を行っています。

エシカル消費とは

持続可能な開発目標(SDGs)の
12番目は「つくる責任 つかう責任」

2015年9月の国連総会で決められた国際的な17の目標のなかにも、貧困や飢餓、
エネルギー、気候変動、平和的社会などと併せて、「持続可能な生産・形態の確保」が揚げられています。

(出典)令和2年8月消費者庁:エシカル消費に関する意識調査など

エシカル消費にかかわる消費者意識向上

自然災害や環境破壊・資源の枯渇等の問題はすべての人が可能な範囲で行動するべき

57.1%

エシカル商品・サービスの購入時の価格アップを容認

69.0%

ユーザー様からのCO2削減要望

  • 各ユーザー様から具体的なサプライチェーンとしてのCO2削減目標が提示され始めています。
  • ユーザー様とは“鉄鋼はCO2削減の難しい分野である”という認識を共有しながらも、要望にお応えするべく検討を行っています。

鉄鋼業界としての削減目標

日本鉄鋼業の2030年CO2削減目標

エネルギー起源CO2排出量:2013年度比

30%(約5,790万トン)削減

政府エネルギー基本計画のマクロ想定や各種対策の実施のための必要条件が整うことが前提です。
(BATの導入等による省エネの推進、廃プラスチックの活用、2030年頃の実機化を目途に現在開発中の革新的技術の導入、その他CO2削減に資する原燃料の活用等)

日本鉄鋼業の
カーボンニュートラル行動計画

(出典)日本鉄鋼連盟/鉄鋼業の地球温暖化対策への取組み 自主行動計画進捗状況報告 (jisf.or.jp)

鉄鋼業界としての取り組み(COURSE50プロジェクト)

  • 我が国は、2008年から世界に先駆けて水素還元製鉄の技術開発(COURSE50)を開始。
  • 2016年から12m3試験高炉(実機の1/400)を用いた試験を開始し、水素系ガス吹込みにより還元工程におけるCO2排出量10%以上減が達成可能である事を世界で初めて検証。
  • CO2の分離・回収に必要な化学吸収法及び物理吸着法を確立。
    この技術により、製鉄所内の未利用排熱を利用することで、更なる省エネルギー化を推進しました。

    COURSE50 試験高炉

    NEDO・日本鉄鋼連盟COURSE50

    COURSE50 CO2分離回収設備

    NEDO・日本鉄鋼連盟COURSE50

  • 2020年度からはカーボンニュートラルの実現に向けた諸課題の抽出、ロードマップを策定(~2021年度)。
    本成果を基金事業に活用。

カーボンニュートラル製鉄実現への課題

カーボンニュートラル製鉄
実現のためのコストアップ

  • 巨額な研究開発費
    2030年までに数千億円、2050年に向けては更に多額の開発費用が必要。
    (グリーンイノベーション基金に加え、政府による研究開発支援が必要)
  • 巨額な実機化投資
    カーボンニュートラル実現に向けた設備投資には鉄鋼全体で10兆円程度の投資が必要になると想定。
    (実機投資に関する支援措置の創設)
  • グリーン水素・電力費用およびインフラ整備投資
    (海外とイコールフッティングになる産業用価格の設定)

カーボンニュートラル製鉄
実現に必要な社会連携

  • 「環境と成長の好循環」を実現する国家戦略
  • 国際競争におけるイコールフッティング確保による産業競争力の強化
  • ビジネスチャンスにつながる各種政策の一体的実現
  • 社会全体でコスト負担するコンセンサスの形成
  • 他産業連携の推進 等
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