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メッセージ

CO₂排出削減を目指した革新的な技術開発にチャレンジしていきます

鉄は、建造物、鉄道、車、家電など、社会インフラや耐久消費財などを構成する優れた素材として私たちの生活を支えています。こうした社会の基盤となる製品の材料を供給する鉄鋼業は、あらゆる産業の基盤の役割を果たしています。一方、鉄は鉄鉱石を炭素(石炭等)で還元して作るため、製造過程でCO₂の発生が避けられません。鉄鋼業でカーボンニュートラルを実現するには、18世紀の産業革命前から約300年も続いてきたこの製鉄法を抜本的に変える革新的技術の開発が必要です。

我が国は、2008年度からCOURSE50プロジェクト(NEDO)で高炉水素還元技術の開発を進め、試験高炉でCO₂排出量10%削減が可能であることを世界で初めて検証しました。さらなるCO₂排出削減に向けて、この成果を足掛かりに、2021年度から「グリーンイノベーション基金事業/製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト」において、高炉法に加えて直接還元製鉄法、電気炉法を含めて複線的な技術開発を進めています。

鉄は、強くて、多様な機能があり、リサイクル性に優れる素材です。そして、高級鋼を安定的かつ大量に生産・供給する日本鉄鋼業における脱炭素化は、日本全体のカーボンニュートラル実現に向けて、また我が国の産業競争力を下支えする観点からも非常に重要です。世界で誰も成功していない、史上初の極めて難しいチャレンジですが、オールジャパンで連携して本プロジェクトを推進し、革新的な技術開発を必ず実現したいと思います。

野村 誠治

プロジェクトリーダー
日本製鉄株式会社 技術開発本部
フェロー

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