CO2を減らす技術
鉄鉱石を水素で還元し、H2Oを発生させることで、CO2の排出を削減。
テクノロジー
システム概要
化学吸収法とは、「吸収塔」でアミン等のアルカリ性水溶液(吸収液)とCO2含有ガスとを接触させ、吸収液にCO2を選択的に吸収させた後、「再生塔」で吸収液を加熱して、高純度のCO2を分離・回収する技術です。
化学吸収法は、常圧のガスから大量のCO2を分離・回収するのに適した技術ですが、製鉄プロセスでの適用としては開発の初期段階であり、ラボ開発と共に実際の製鉄プロセスを活用して以下のような様々な開発に取り組んでいます。
❶ 計算化学による新吸収剤の設計
❷ 計算化学による新吸収剤の設計
❸ ラボ試験
CAT*-LAB | CAT*-1 | CAT*-30 | |
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CO2回収量 | 5kg/日 | 1トン/日 | 30トン/日 |
試験用途 | 模擬ガス連続試験性能評価による吸収液探索 | 開発吸収液の実ガス性能基礎評価 |
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*Chemical Absorption Test plant
このサイクルを繰り返しながら、これまでにCO2分離・回収に要するエネルギーを従来よりも約40%低減可能な高性能化学吸収法を開発しました。今後も、高性能な吸収液・プロセス開発を継続し、目標達成を目指しています。
※図を拡大して見ることができます。
開発成果(新吸収液、プロセス)を活用して日鉄エンジニアリング㈱がESCAP(Energy Saving CO2 Absorption Process)を商用化し、2014年に商業1号機(製鉄所の熱風炉燃焼排ガス:120トン/日)、2018年に商業2号機(石炭火力発電所燃焼排ガス:143トン/日)が稼働しました。
ESCAP商業1号機
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今回開発するプロセスでは、高炉ガスからCO2-PSA*でCO2を分離回収した後、さらにCO吸着剤を充填したCO-PSA*でN2を分離することで可燃性ガスを回収し、製鉄所での有効利用を図ります。
*Chemical Absorption Test plant
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最適なCO2吸着剤を選定することで、CO2回収率≧80% またはCO2濃度≧90%を達成できることが明らかになりました。
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処理能力3トン/日のベンチ試験装置(ASCOA*-3)を建設し、CO2分離性能を評価するとともに、 ガス前処理方法やコスト削減方法の検討を進めました。ASCOA-3での運転研究を通じて、(1)設備のコンパクト化の見通しを得るとともに、(2)吸着剤による圧力損失を低減する技術を開発し、消費電力を削減しました。
*Advanced Separation system by Carbon Oxides Adsorption